SEO対策においては、「検索エンジンがどのように検索順位を決めているのか」、その仕組みと背景にある考え方を理解することが欠かせません。
ここを外してしまうと、見当違いで効果のないSEO対策をすることになりかねません。
今回は、検索エンジンの要であり、特に重要な存在であるアルゴリズムについて説明します。
アルゴリズムの基本的な知識に加えて、最近になって重要度が高まっているE-A-TやYMYLについても紹介します。
その上で、アルゴリズムに対する理解をSEO対策に活かす具体的な方法まで見ていくことにしましょう。
参考:SEOとは? 企業が実施するSEOの目的・内容とメリット・デメリット
目次
日本国内の検索サービスは、Googleが約65%、Yahoo! JAPANが約30%のシェアを占めています。
Yahoo! JAPANの検索エンジンはGoogleのアルゴリズムを採用しているため、日本においては「検索エンジン≒Google」と考えて差し支えありません。
適切なSEO対策を実施して検索結果で上位表示を目指すためには、Googleの仕組みをよく知ることが極めて重要です。
まずは、Googleが検索順位を決めるまでの仕組みと流れを理解しておきましょう。
検索エンジンは、インターネット上で自動的に動作するプログラム(ロボット)を利用して情報を収集します。
このプログラムはクローラー(Crawler)と呼ばれ、Googleの場合はメインのGooglebot他、画像検索用のGooglebot-Imageなどがあります。
一般的にクローラーは、HTMLなどのファイルに含まれるリンクをたどることで、インターネット上の膨大なページを自動巡回して情報を収集します。
クローラーはたどり着いたページを読み込み、HTMLやPHPなどのテキスト情報だけでなく、JavaScriptで生成される内容やリンク先のPDF、画像ファイルなど、非常に多くの情報を収集・分析しています。
これが「クローリング」と呼ばれるステップであり、検索順位を決めるために必要な最初のステップです。
クローリングによって収集したデータは、検索エンジンのデータベース(インデックスサーバー)に格納されます。
これが、クローリングの次のステップである「インデキシング」です。
インデックス(Index)とは元々、索引や目録、目次といった意味の言葉ですが、SEOにおいては検索エンジンのデータベースに登録されることを「インデックスされる」と呼んでいます。
ユーザーはインターネット全体を直接検索するわけではなく、インデックスされたデータを対象に検索を行うのです。
これはつまり、検索エンジンにインデックスされていないページはユーザーの検索対象にならず、検索結果画面にも表示されないことを意味します。
だからこそ、クローラーに訪問してもらいインデックスされることが、SEOにおいては重要かつ不可欠なのです。
また、検索エンジンはクローラーが認識したページの全てをインデックスするわけではありません。
クローラーが分析した結果、「ユーザーの役に立たない低品質なページ」、あるいは「検索エンジンのルールに違反しているスパム的なページ」であると判断した場合などには、インデックスされません。
検索順位を決めるための最後のステップが、インデックスされたデータを対象に実施される「ランキング」です。
ランキングは、検索キーワードに応じて、Google独自のアルゴリズムに基づいて行われます。
検索ユーザーの知りたい情報に関連性の高いページほど上位に表示されるアルゴリズムになっており、これによりユーザーが検索結果に満足できる可能性が高くなります。
効果的なSEO対策を行うためには、Googleのアルゴリズムの方針や傾向をしっかりと把握することが欠かせず、SEO対策において特に重要な要素だといえるでしょう。
続いては、検索エンジンの要ともいえるアルゴリズムについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
これはコアアルゴリズムとも呼ばれ、検索エンジンがWebページの検索順位を決めるためのルールです。
アルゴリズムの基礎知識とあわせて、最近の傾向についても説明していきます。
アルゴリズムについて知るためには、まずGoogleの考え方やビジネスモデルについて理解しておく必要があります。
Googleが掲げる考え方は「ユーザーファースト」です。
より多くの検索ユーザーに最適な検索体験を提供し、満足してもらうことを目指しています。
ユーザーが検索体験に満足するためには、
などの体験を提供する必要があり、そのためには「ユーザーの検索意図に適切に応えること」が重要です。
ユーザーの検索意図は、選んだ検索キーワードに内在されています。
この検索キーワードと関連性の高いコンテンツほどユーザーが求めている情報やコト、モノであると考えられます。
Googleは、これらを検索結果の上位に表示させることで、ユーザーの満足度向上につなげたいわけです。
一口に検索キーワードとの関連性の高さといっても、適切に算出するのは容易ではありません。
Googleでは、いくつものランキング要素をアルゴリズムにおける評価指標として定め、そのルールに従ってキーワードとの関連性を評価しています。
より多くのランキング要素を満たすページであるほど、検索結果でも上位に表示されるわけです。
ランキング要素は、実に200以上もあるとされています。
これらのランキング要素のうち、特に重要なものが「コンテンツ」と「リンク」、次いで「ランクブレイン」の3つであるとGoogleは発言しています。
ランキング要素のうち、重要な要素やその概要については公式に言及されているものの、詳細は公開されていません。
詳細は不明であっても、数々のアップデートにおいてGoogleの方針自体は明確になっています。
こうした方針から、いかにランキング要素が影響しているかを読み解き、その上で適切な対策を考えて実施するのがSEO対策のプロの役割といえるでしょう。
先述した通り、Googleはコンテンツを最も重視するランキング要素の一つに位置づけ、良質なコンテンツほど高く評価しています。
そして、コンテンツの品質に関しては「Google検索品質評価ガイドライン」で具体的な指針を示しています。
その中で掲げているのが「E-A-T」という考え方であり、高品質なコンテンツであると評価されるために必要な要素であると言及しています。
E-A-Tとは、
の3つの言葉の頭文字をつなげた造語です。
コンテンツの著者に専門性が備わっているかを指しています。
一般的には、社会的な肩書きを伴う専門家であることが期待されますが、Googleは必ずしもこうした専門性だけを認めているわけではありません。
たとえば、家事の工夫といった生活の知恵を個人ブログで発信し続けるのも、立派なエキスパート(専門家)と捉えられています。
そのサイト自体がいかにその道の第一人者であると認められ、影響力を持っているかを指しています。
わかりやすくいえば、「この話題に関してならば、このサイトの情報を読むのが一番」と認められているかということです。
一般的に、権威性の高いサイト(たとえば有名な大学や病院、研究機関など)は多くの良質な外部リンクを持ち、数多く引用されているため、こうしたサイトからリンクを得ることも権威性の獲得に役立つでしょう。
文字通りコンテンツおよびサイトそのものを信頼できるかどうかを指しています。
事実と異なる、誤った情報を掲載していないか、あるいは情報の提供者(著者を含む)を信頼できるかどうかなどがこれにあたります。
今後は、E-A-Tを意識したコンテンツを作ることが高評価に不可欠になり、逆にE-A-Tを無視したコンテンツは低品質と見なされるようになっていくでしょう。
なお、E-A-Tを高めるための具体的な手法については、後述します。
Googleは、つねにアルゴリズムの改善を重ねています。アルゴリズムの改善・更新はアップデートと呼ばれ、これまでにも数々のアップデートが行われてきました。
中でも大きな方針転換を伴う大規模なアップデートには、名称が付けられて周知されています。
有名なものでは、パンダアップデート、ペンギンアップデート、ハミングバードアップデート、ベニスアップデートなどが挙げられます。
それぞれのアップデートについて簡単にご紹介します。
2011年から実施されるようになったアップデートで、低品質なコンテンツやユーザーの役に立たない内容の薄いコンテンツ、コピーばかりのコンテンツなどの評価を下げる(上位に表示されにくくする)アップデートです。
2012年から実施されるようになったアップデートで、Googleの品質ガイドラインに違反したSEO対策を施したコンテンツの評価を下げるアップデートです。
スパム的手法などの、いわゆるブラックハットSEOを排除することを主な目的としています。
2013年から実施されるようになったアップデートで、よりユーザーの検索意図を適切に汲み取るべく、会話型の検索が可能になったアップデートです。
ユーザーがキーワードを正確に指定しなくても、自然な言葉で要望を入力することで、その検索意図を推測した上で回答をくれるのです。
検索順位への影響は少ないといわれていますが、「ユーザーの検索意図に適切に応える」というGoogleの考え方がよくわかるアップデートだといえるでしょう。
2015年から実施されるようになったアップデートで、検索ユーザーの現在位置情報に応じて検索結果をパーソナライズするアップデートです。
病院や役所、飲食店など地域依存性の高い検索対象の場合、わざわざ地名や地域などのキーワードを指定せずとも、現在地周辺に絞り込んだ検索結果を表示してくれます。
ユーザーの利便性に大きく影響するアップデートだといえるでしょう。
ここで紹介したアップデートは一部に過ぎませんが、それでもGoogleのアルゴリズムの多様性や、目指している方向が見えてくることでしょう。
また、小規模なものを含めればアルゴリズムのアップデートは年に数回程度の頻度で実施されています。
つねにアルゴリズムが変化し続けるからこそ、SEO対策もまた不変ではなく進化し続ける必要があるのです。
Googleが特にE-A-Tを重視している分野が、YMYLと呼ばれる分野です。
YMYLとはYour Money or Your Lifeの略で、ユーザーのお金や人生に関わる分野を指しています。
より具体的には、金融系、医療系、健康系のほか、法律やニュースなどもYMYLに分類されており、E-A-Tと同じく「Google検索品質評価ガイドライン」で言及されています。
これらはいずれも、ユーザーの人生に大きく影響する、極めて重要な情報であるとGoogleは位置づけています。
だからこそ、YMYLにおいては偽情報や誤った情報を排除できるよう、特に厳しくE-A-Tを要求しているのです。
YMYL重視の姿勢は、2017年12月に実施された日本独自のアップデートにもよく表れています。
これは健康アップデートと通称されるもので、医療の専門家や医療機関などから提供される、より信頼性の高い情報が上位表示されやすくなり、医療・健康関連の検索の実に60%にも影響するものでした。
特に注目したいのが、単に専門家が専門的な内容を述べた難解なコンテンツではなく、「専門家が、専門的な内容を、一般人にもわかりやすいように噛み砕いて伝えているコンテンツ」を高く評価するとしている点です。
医療・健康系というわかりやすい分野から始まったアップデートですが、専門性と信頼性とわかりやすさを兼ね備えたコンテンツを高く評価するというユーザーファーストの考え方は、今後より広範な分野へと適用されると考えられます。
関連記事:Google ウェブマスター向け公式ブログ|医療や健康に関連する検索結果の改善について
ここまでアルゴリズムの基礎および最近の動向について見てきましたが、これを踏まえてこれからのSEO対策にはどのような点に注目すべきでしょうか。
SEO Japanでは、以下の3つの点が今後の重要ポイントになると考えています。
E-A-Tを意識したコンテンツ作りは、もはやSEO対策に必須の要素といえます。
特に金融や医療・健康、法律、ニュースなどのYMYL分野においては、より高いE-A-Tが求められるようになるでしょう。
ユーザー体験が重要になる理由としては、ランクブレインの存在が挙げられます。
ランクブレインは人工知能(AI)を用いた機能であり、ユーザーの実際の検索行動を機械学習することでサイトの評価へとつなげています。
ユーザーの行動には、訪問したサイトが気に入らなかったのか、情報に満足したのか、何か足りないと思ったのか、関連して何を知りたいと考えたのかなど、ユーザーのさまざまな体験が如実に反映されています。AIの占める役割が増えていくにつれ、AIによる評価の判断材料となるユーザー体験もまた重要度を増していくと考えられます。
モバイルフレンドリーでは、PCとはサイズも縦横比も異なるスマホ画面においても、ユーザーが快適にサイトを閲覧・操作できるかが重視されます。
さらに、モバイルファーストインデックス(MFI)が導入されたことで、モバイル向けページが優先的に評価されるようにもなっています。
今後はさらにモバイル対応がより重要になることは間違いないでしょう。
【スマホ・モバイルのSEO対策】Googleで検索順位を上げる方法
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ここまで見てきた通り、Googleはユーザーの検索ニーズに応え、ユーザーに満足してもらうというユーザーファーストを掲げています。
アルゴリズムもまた、ユーザーファーストを実現するためのアップデートを重ね続けています。
検索結果で上位を目指すには、こうしたGoogleの方針をあらためて理解して、SEO対策に活かすことが大切です。
Googleは本来、ランキング要素の詳細について明らかにすることはありません。
しかし、2016年3月に開催されたGoogleとのQ&Aにおいて、Googleのサーチクオリティ・シニアストラテジストであるアンドレ・リパッセ氏が、上位2つの要素はリンクとコンテンツであると発言したのです。また、その前年にはランクブレインが3番目に重要な指標であることも発表されています。
SEOに関わる人たちの間では、コンテンツとリンクが最重要とされているのは順当だと受け止めると同時に、Googleが公式に発言したということで非常に話題となりました。
つまり、それだけGoogleがサイト運営者に対して、コンテンツとリンク、そしてランクブレインについて重視してほしいという強い姿勢を打ち出したと受け止めたわけです。
だからこそ今後のSEO対策では、
が重要になってくるのです。
【関連記事】SEO Japan|Googleがランキング要素のTOP3を公式に発表。
Googleが評価する良質なコンテンツとは、
という条件を満たすコンテンツ、すなわちユーザーが検索結果に満足でき、かつ安心して内容を信頼できるコンテンツであると考えられています。
これは、E-A-Tを高めるべきというガイドラインからもよくわかることでしょう。
そして、良質なコンテンツを作るためには、
という7つの手順を適切に実施することが重要です。詳細は下記のリンク先で紹介しているので、ぜひご確認ください。
コンテンツでSEO対策!プロが教えるユーザーからも検索エンジンからも評価される高品質コンテンツの作り方
外部からの被リンクをGoogleが重視するのは、外部リンクの獲得が「情報をリンクさせる価値のあるコンテンツ」だと他サイトのユーザーから認められた結果であるからです。
一方で、ただ外部リンクを獲得しただけでは評価してくれません。
価値があると認めるのは、あくまでも自然発生した質の高いリンクや、価値の高いオーソリティからのリンクなどに限られます。
かつて横行した自演リンクや、中身のないサイトからの機械的なリンクなどは、かえってペナルティの対象になっています。
「リンクすべきコンテンツ」であると他サイトに判断してもらえるだけのコンテンツを作ることが、リンクを得るための王道であり最短の道なのです。
SEOの外部対策とは?外部リンク(被リンク)やメンション、指名検索を増やす方法
良質なコンテンツをさらに発展させる形で、2019年に重要性を増すと考えられているのが「E-A-T」です。
コンテンツにおけるE-A-T、すなわち専門性と権威性、信頼性を高めるには、次のようなポイントを意識してコンテンツを作ってみましょう。
専門性を高めるには、やはり自身が専門家であることが一番ですが、専門家の協力を仰ぐ(雇う)ことも効果があります。
そして、同時に「誰が」コンテンツを書いているのかという透明性を持たせるために、筆者情報や連絡先情報などもすぐ確認できるように掲載します。
たとえ社会的な肩書きのある専門家でなくとも、対象のトピックを深く掘り下げたサイトであれば、十分にE-A-Tは高められます。
この場合、対象のトピックに関する良質なコンテンツを書き続け、十分な情報を発信していることが重要です。
逆に、専門家の名前だけがあっても、コンテンツの品質が伴わなければE-A-Tは高められないでしょう。
専門的な情報を専門家にしか理解できない難解な言葉で語っても、多くの一般ユーザーは理解できず、結果として検索エンジンにも評価されません。
一般的なユーザーにもわかりやすいように噛み砕き、かつ事実を正確に説明することが重要です。
統計や調査、産業研究などのデータを独自に提供できれば、E-A-Tは大いに高まり、外部リンクの獲得にも非常に役立つことが期待できます。
独自に用意できない場合でも、権威性の高いサイトから信頼できるデータを引用するなどして、コンテンツに説得力を持たせるようにしましょう。
権威性の高いサイトから良質な外部リンクを得ることができれば、E-A-Tにも大きな効果があります。
一朝一夕に達成できるものではありませんが、目指すべき方向性として意識することが大切です。
適切なSEO対策を実施するためには、検索エンジンの中心的存在であるGoogleの仕組みをよく知ることが欠かせません。
Googleが検索順位を決めるまでには、データを収集・分析するクローリング、データベースに格納するインデキシング、順位付けを行うランキングの3つのステップがあります。
ランキングは検索キーワードに応じてアルゴリズムに基づいて行われ、基本的にはキーワードとの関連性の高さが評価基準となっています。
ランキング要素は200以上あり、Googleはコンテンツ、リンク、次いでランクブレインの3つが最も重要であると位置づけています。
Googleは「検索品質評価ガイドライン」の中でE-A-Tに言及しています。
これはExpertise(専門性)、Authoritativeness (権威性)、TrustWorthiness (信頼性)を意味し、高品質なコンテンツに重要な要素としています。
E-A-Tは現在、YMYL(Your Money or Your Life:ユーザーのお金や人生に関わる分野)において特に厳しく求められていますが、今後この適用範囲はさらに広がるでしょう。
の3つが重要ポイントだと言えます。
Googleのアルゴリズムとその方針を理解しながら、これらのポイントに沿ってコンテンツ作りおよびSEO対策を実施していくことが重要です。
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