AI検索における適切なKPIの特定

公開日:2026/10/20

最終更新日:2026/10/20

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編集者: アイオイクス SEO Japan編集部

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本記事は、ジャーナリスト出身で10年のデジタルマーケティング経験を持つ、iPullRankのコンテンツマーケティングマネージャーFrancine Monahan氏によって執筆された、iPullRankの記事『Identifying the Right KPIs in the Context of AI Search』を翻訳したものです。

SEO Japan編集部より補足:本文中に登場するCRO(Chief Revenue Officer)は「最高収益責任者」を指し、SEOの文脈で使われるCRO(コンバージョン率最適化)とは別の言葉です。フラクショナルCROは、複数の企業を非常勤・業務委託の形で担当する役員のことを指します。

順位とクリックを軸にした従来のKPIでは、AI検索時代の成果は語れなくなりました。しかし、あらゆるブランドに当てはまるKPIの決定版リストも存在しません。自社のビジネスゴールとベースラインから出発し、意思決定に本当に使える指標を選ぶための考え方を整理します。 

KPIについては、いま、あらゆるクライアントが強い関心を持っています。ビジネスゴールについて話す打ち合わせでは、毎回必ずこの話題になります。AI検索という新しい時代に私たちは何を測るべきで、その測定結果は何を教えてくれるのか、という問いです。

おそらく読者のみなさんも、オンラインでのブランドの価値とROIを示すための適切なKPIを見つけるのに苦労してきたのではないでしょうか。ビジネスがいまどの段階にあるか、どの段階に進みたいのか、あるいは世界経済やサプライチェーンといった外部要因やその他の障壁によって、話は変わってきます。

順位とクリックを軸に組み立てられてきた従来のデジタルマーケティングKPIの作り方は、もはや全体像を語れなくなっています。AIモデルは質問に直接答え、情報源を引用し、ブランドのドメインを完全に迂回しながら、人をまったく新しい経路で意思決定へと導いています。しかもAI検索は確率的で不確かであり、アトリビューションもはっきりしません。そのため、そのため、そこで測るどんな指標も、正確さよりも一貫性に基づくものになります。 

この業界にはKPIの標準というものがありません。だから、どんな問いを立てればいいのか、誰を信頼すればいいのか、いまやっていることがうまくいっているのかどうかをどう知ればいいのかが、見えにくいのです。

「KPIは極めて重要です。ただ、何をKPIにすべきかに唯一の答えはありません」と、iPullRankのフラクショナルCROであるBrittan King氏は言います。

そこで問いはこうなります。いま、KPIとはそもそも何なのでしょうか。あらゆるものが絶えず変化しているときに、どうすればパフォーマンスを測れるのでしょうか。

良い知らせは、測定をゼロから作り直す必要はないということです。必要なのは、AI検索戦略のための確かなフレームワークを持つこと。そのうえで、自社のビジネスゴールを反映したKPIを選ぶことです。

新しい検索の時代

KPIをめぐるこの混乱の原因は、AI検索の登場です。いまのブランドは、AIモデルに見つけてもらえる存在であると同時に、そのモデルが話しかけている人間を説得できる存在でなければなりません。この2つは同じスキルではなく、測り方も同じではありません。

オーガニック検索の時代は、クリック率が進捗を示す手軽な代替指標として使えたため、マーケターはKPIに対して少しばかり緩くなっていました。その近道は、もう通用しません。人がブランドを見つけ、関わる方法が、はるかにパーソナルなものになったからです。

新しい検索の時代は消費者の行動を変え、ブランドは成功の測り方を変えざるを得なくなりました。数字のひとつひとつは、誰かが何かをしたことを表しています。それは完全に正確ではなくても、方向性を知るうえでは役に立ちます。いまの測定とは、そういうものです。完全に正確でも完璧でもありませんが、数字は一貫していて、文脈を持ち、自社のブランドに即したものになっています。

ボストン コンサルティング グループの調査は、「4S行動」と呼ぶストリーミング(streaming)、スクローリング(scrolling)、検索(searching)、ショッピング(shopping)という4つの行動が、人がブランドをそもそもどう発見するかを変えた力だと指摘しています。それぞれの行動を理解し、マーケティングを適応させることが、オーディエンスに届き、共感を得て、売上につなげるために不可欠になります。

その上にAI検索が重なった結果、手元に残ったのは、もうあまり役に立たないKPIの寄せ集めです。

「私たちはいま、物事が成長するのではなく変化していく、より成熟したインターネットの段階にいます」とBrittan氏は言います。「それ自体が悪いわけではありませんが、予測は難しい」

ただし、予測が難しいからといって、測定が不可能だというわけではありません。測定へのアプローチもまた、変わらなければならないということです。

ビジネスゴールに向けて最適化する

2020年、米国が外出自粛に入ったとき、エクササイズバイクのPelotonは契約者数が爆発的に伸びました。人々は家にいなければならず、家で運動したからです。従来のあらゆる指標で見れば、同社は止められない勢いに見えました。しかし、アカウント数の成長は、実際にバイクを使う人の成長と同じではありませんでした。ジムが再開して人々が外で運動できるようになると、Pelotonへの関心は薄れていきました。教訓は、Pelotonは見るべきでない数字を見ていて、変化の中で契約者を維持することに注力しなかった、ということです。

経営層は、「コンバージョンさせるリードがもっと必要だ」という発想に流れがちです。しかし本当の問いは、そのリードがそもそもコンバージョンさせる価値のあるものかどうかです。Brittan氏の言葉を借りれば、「必要なのは質の高いリードであって、量が必ず必要というわけではない」のです。質を追わずに量だけを追うと、たいてい成果は動かず、しかもお金がかかります。目的を忘れてはいけません。

「自分たちが何をしようとしているのかを思い出してください」とBrittan氏は言います。「何かを売ること、お金をより有効に使うこと、マーケティングをより効果的にすることです」

いま獲得しているリードが半分になり、その代わりにコンバージョン率が2倍になったら何が起きるか、自問してみてください。とはいえ、ここに近道はありません。どの企業も、自分たちで答えを出す必要があります。収益を生むための自社固有のゴールから出発し、適切な顧客から適切なリードを獲得し、コンバージョンさせていくのです。

McKinseyが2023年に18社を調査したところ、リーダーたちが実際の意思決定で使っていたのは、自ら定義して追跡していたKPIのうちわずか29%でした。測定されているもののほとんどは使われず、経営層はしばしばデータに溺れています。指標を戦略的に選ぶのではなく、ただ集めているだけだと、そうなります。

その結果、経営層は、自分たちが進めている変化が本当に価値を生んでいるのかを判断できなくなります。さらに、多くの変革はコストや市場からの圧力を考慮せずにKPIの改善だけに注力するため、リーダーは最終的な損益への影響をはっきり見渡せないままになります。

現代的なKPIを作る

新しいKPIをどこから作り始めればいいか迷っているなら、次の問いに順番に取り組んでみてください。

• いま最も効果的なチャネルは何か:何かを改善する前に、すでに何がうまくいっているのかを知る必要があります。

• それをどう測っているか:ROAS、ROI、サイト滞在時間など、そのチャネルのパフォーマンスを実際に反映している指標で測ります。

• そのチャネルのコストはいくらか:たとえば有料検索は、自社が所有できるものではありません。Brittan氏の表現を借りれば、それは投資ではなく「賃貸」に近いものです。供給、需要、競合の変動に左右されるからです。オーガニックな戦略への投資は時間がかかり、全体への影響を特定しづらくもなりますが、ブランドのエクイティを高めてくれます。その結果、アクティブなメディアバイイングと予算に依存する統合マーケティングの取り組みも、効率と効果が高まります。旅行かばんブランドのAwayは、このことを身をもって知りました。同社は初期の勢いをほぼ有料ソーシャルだけで築き、しばらくはうまくいきましたが、借り物の注目は頼り続けるほど毎年高くつくようになり、コストが上がりすぎたところで壁にぶつかりました。

• ベースラインは何か:いまいる場所から始めてください。ビジネスゴールを定め、ベースラインを特定し、そのうえで進みながら定期的に振り返り、達成できているかを確かめます。

Adobe for Businessのチームは、「注視すべき最も重要な指標は、AIでのビジビリティを、ブランドの影響力、競争上のポジション、収益につなげるものだ」と書いています。

同チームが追跡を推奨するKPIには、次のものが含まれます。

  • AIビジビリティとブランドの存在感
  • サイテーション(引用)
  • AIシェア・オブ・ボイス
  • ブランドセンチメントと回答の正確性
  • AI経由の参照トラフィックとエンゲージメントの質
  • ビジネスインパクトと収益への貢献

ただし繰り返しになりますが、これらは自社のブランドとそのビジネスゴールに合わせてパーソナライズする必要があります。自社には当てはまらないものもあるでしょうし、ほかに注力したい指標があるかもしれません。最も重要なステップは、何が自社ブランドのゴール達成に役立つかを見極めることです。そのために、外部の助けを求めるべき場面もあります。

代理店と前もって組むことは投資であり、この業界の誰からも、即座の結果を期待すべきではありません。もし誰かが即効性のある成果を約束するなら、それは疑ってかかる価値があります。出発点を定め、そこに照らして確認を続けてください。

「SEOは長期的な投資です。私たちは、より強固な統合マーケティングの基盤に向けてエクイティを積み上げていて、それは時間とともにあらゆる面で増えていきます」とBrittan氏は言います。

チームはどう構成されているか

良いKPIを阻む壁が、組織図であることもあります。各チームは、互いに競合するゴールに向かって動いていないでしょうか。アトリビューションは絶えず混乱していないでしょうか。有料検索、ソーシャル、動画を別々のチームがそれぞれのサイロで運用しているなら、戦略を統一し、適切なコンテンツを連携して配信する必要があります。

組織の中のサイロを見つけ、それを壊し、ブランドの視点から響くプログラムを考えてください。そのうえで、適切なバージョンのコンテンツを、戦略的かつ統一された形で配信します。サイロを壊したことで得られる改善そのものが、追跡する価値のあるKPIです。潮が満ちれば、すべての船が浮かび上がります。

サイテーションには、実際どれだけの価値があるのか

LLMやGoogleでの表示を増やすことがゴールの一部なら、サイテーションの価値を理解しなければ、それを意味のある形で測ることはできません。その価値は、CEOがどこかにブランド名が出てくるのを見たいだけ、という見栄えのための指標とは別物です。

より良い問いは、自社のビジネスを実際に動かしている商業的なサイテーションを特定できているか、そして、そうした特定のメンションが成果とどうつながっているかを理解しているか、です。自社ブランドについて引用される内容は、見込み顧客に響くものでなければなりません。だからこそ、さまざまなLLMで自社が正確にどう表示されているか、それがブランドを正しく表しているかを確かめることが重要です。

KPIはマーケティングの枠を超える

これらは、どれも単独では機能しません。マーケティングから送られてくるリードを営業チームがコンバージョンさせる体制になっていなければ、マーケティング側のどんなKPIもそれを解決してはくれません。数字が動くより前に、ビジネスモデルそのものを変える必要がある場合もあります。

どんな問いを立て、誰を信頼すべきかについて、業界標準はまだありません。そのせいで、自分たちのやっていることが本当にうまくいっているのかを知るのが難しくなっています。結局のところ、マーケティングが機能していると言えるのは、ビジネスがゴールに向かって測定可能な形で近づいているときだけです。

あらゆるAI検索プログラムに当てはまるKPIの決定版リストを期待してここに来たのなら、そんなものは実際には存在しません。たしかにKPIは重要です。しかし、あなたのビジネスとその具体的なゴールを十分に理解するより前に、何を測るべきかを教えられる人はいません。

前に進む道は、初日に完璧な指標を見つけることよりも、そこにたどり着くための正しいプロセスを築くことにあります。そうした足並みの揃った状態は一晩では生まれませんが、前もっての努力は、成果を得るための対価です。

「時間はかかります」とBrittan氏は言います。「長期的に指数関数的な価値を得るための、重い初期投資です」

この記事からひとつだけ持ち帰るなら、KPIの特定は一度やって終わりのタスクではない、ということにしてください。それは、ビジネスゴールと、ベースラインと、変わり続ける検索環境の現実との間で続いていく対話です。そこから始めれば、正しい数字はあとから付いてきます。

「腰を据えて事業計画を立てることが、これほど難しかった時代はありません」とBrittan氏は言います。「市場も、消費者も、予算も、変化も予測しにくい。私たちは皆、過去の指標を使って未来を予測する、データドリブンな意思決定に慣れてきました。でも、もうそれには頼れないのです」

SEO Japan編集部より:

前回翻訳したフォローアップクエリの記事では、会話型検索の成果を4つの問いで測るスコアカードが示されました。今回の記事はその「測る」をさらに掘り下げ、AI検索時代のKPIをどう決めるべきかを扱った内容です。

印象的だったのは、あらゆるAI検索プログラムに当てはまるKPIの決定版リストは存在しない、と明言されていた点です。AIビジビリティやサイテーションを計測するツールが次々に登場し、アイオイクスで携わらせていただいている案件でも、まず数字を取ってみるところから始めるケースが増えています。ただ、取れる数字と、意思決定に使える数字は別物です。定義したKPIのうち実際に使われていたのは29%だったというMcKinseyの調査は、AI検索の指標でも同じことが起こり得ると感じます。

施策によって変えられない指標は、現時点では観測値であってKPIではありません。直近のレポートに載せているAI検索関連の指標を一つずつ見て、「施策を動かして、この数字が動いたか」を書き添えてみてください。手ごたえのあった指標が、AI検索におけるKPIの出発点になります。

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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