ユーザーとしてWebサイトを訪れた際、「リダイレクトしようとしています」といったメッセージが表示された経験がある人もいるかと思います。Webサイトを運営していくうえで、リダイレクトはぜひ覚えておきたい仕組みのひとつです。では、リダイレクトとは一体どのようなものなのか、本記事ではリダイレクトの概要や必要性、設定方法などについて詳しく解説します。
参考:SEOとは? 企業が実施するSEOの目的・内容とメリット・デメリット
目次
リダイレクトとは、WebサイトやWebページのURLを変更した際、自動的に新しいURLに転送する仕組みのことです。わかりやすく例えると、引っ越しの際に旧住所に送られてきた郵便物を新住所に届ける、といった転送届のようなシステムです。
リダイレクトが必要な理由は、主に「訪問者の離脱の防止」と「検索順位の低下の防止」の2つです。それぞれの理由について、以下で詳しく解説します。
WebサイトやWebページのURLが変わると、ブックマークからアクセスしていたユーザーは、ページを閲覧できなくなってしまいます。新しいURLを探すのは手間がかかるため、それをきっかけにユーザーが離脱してしまう可能性があるでしょう。そのようなユーザーが多くなると、やがて重大な機会損失につながる恐れがあります。
GoogleはURLによってWebページを区別しているため、URLを変更すると、まったく新しい別のページとして認識されてしまいます。すると、GoogleによるSEO評価もリセットされてしまい、検索順位が一気に低下する恐れがあります。リダイレクトの設定をしておけば、リニューアル後ももともとのWebページのSEO評価を引継ぐことができます。
ちなみに、以前はリダイレクトの仕組みを悪用したスパム行為が横行していたため、リダイレクトされたページは検索順位がリセットされる仕様になっていました。しかし、検索エンジンの精度が向上した結果、スパム行為は自動的に排除されるようになりました。前述のとおりSEO的にもメリットが大きいため、安心してリダイレクトを設定しましょう。
リダイレクトが必要な主な場面は、主に以下の3つです。
1つ1つ詳細を解説していきます。
WebサイトをリニューアルしてURLが変わった場合は、リダイレクトを設定しましょう。ユーザーが旧URLにアクセスしても、新しいURLにスムーズに誘導できます。なお、URLを変えずにリニューアルすることも可能なため、特別な理由がない場合はそのほうが望ましいでしょう。
サイトリニューアルだけでなく、以下のような場合もWebページのURLが変更されるため、適宜リダイレクトを設定するのがおすすめです。
ドメインとは、インターネットにおける住所のようなものです。たとえば「https://www.ioix.com」というURLでは、「ioix.com」の部分がドメインとなります。Webサイトのドメインを変更すると当然URLも変更されるため、ユーザーが迷子にならないような工夫が必要です。
一方、SSL化とは、Webサイト上の通信を暗号化することです。SSL化を実施すると、URLの「http://」の部分に「s」が追加され、「https://」となります。たった1文字の違いですが、URLの文字列が違えば別のページと判定されてしまうため、SSL化を実施する際はリダイレクトの設定が必須です。
また、SEO対策では、同一コンテンツのURLを1つに統合することが重要になります。内容がまったく同じなのに「www.」や「index.html」のアリ・ナシなどで複数のURLが存在していると、Googleからの評価が分散してしまうためです。その際、統合により吸収されるURLをブックマークしていたユーザーに配慮し、リダイレクトを設定すると親切でしょう。その場合、Googleアナリティクス(GA4)でユーザー経路を正確に把握するには、クロスドメイントラッキングの設定が必要です。
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クロスドメイントラッキングとは?意味・設定方法や設定できないときの対処法
モバイルフレンドリーとは、Webサイトがスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末での閲覧に配慮されている状態を指します。近年のSEO施策ではモバイルフレンドリーが必須とされていますが、モバイルフレンドリーに対応するためパソコン用ページ・モバイル用ページを分けた場合、Googleによる評価が分散してしまうリスクがあります。
パソコン用ページにモバイル用ページへのリダイレクト設定を行っておくと、同一Webサイト内のコンテンツと判断され、モバイル用ページの評価を落とさずに済むでしょう。
リダイレクトは、サイト訪問者に一時的に別のページを表示させたいときにも活用できます。「サイトリニューアル中」や「休業中」など、Webサイトを一時的に表示させたくない場合におすすめです。
リダイレクトには、「301リダイレクト」と「302リダイレクト」の2種類があります。
301リダイレクトとは、旧URLから新URLへの転送を恒久的に行うリダイレクトです。サイトリニューアルやドメイン変更などにより、URLを元に戻す可能性がない場合に適しています。301リダイレクトでは旧URLのSEO評価が引き継がれ、検索結果には新しいURLが表示されます。
また、301リダイレクトには「サーバーサイドリダイレクト」と「クライアントサイドリダイレクト」の2種類に分けられます。
サーバー側の設定でページを転送する方法です。ユーザーがページを閲覧しようとすると、旧URLを介さず、自動的に新URLを表示させます。
HTMLで転送先の情報を記述する方法です。サーバーサイドリダイレクトとは異なり、一度旧URLにアクセスしてから、新URLに遷移します。なお、Googleはサーバーサイドリダイレクトを推奨しています。クライアントサイドリダイレクトは重複コンテンツとしてペナルティの対象となる恐れもあるため、十分注意が必要です。
302リダイレクトとは、旧URLから新URLへの転送を一時的に行うリダイレクトです。ページのメンテナンス中など、一時的にお知らせページを表示したい場合に適しています。
リダイレクトの設定方法はいくつかありますが、基本的には「.htaccessファイル」をアップロードする方法が推奨されています。「.htaccessファイル」とはWebサーバーの動作を制御するファイルのことで、Googleが推奨するサーバーサイドリダイレクトに該当し、SEO的にも安心です。
「.htaccessファイル」を用いたリダイレクトは、以下の手順で実行します。
万が一、設定を誤った場合はWebサイト全体に影響が及ぶため、必ず専門知識のある人に確認を依頼しましょう。
WordPressを使用している場合は、専用のプラグインを活用すると便利です。プラグインの種類はさまざまにあるが、多くの人が使用しているのが「Redirection」というプラグインです。「Redirection」でリダイレクトを設定する場合は、以下の手順で実行しましょう。
ここからは、リダイレクトに関するよくある質問に答えていきます。
リダイレクトの設定がうまくできているか確認したい場合は、ブラウザ上で実際に旧URLにアクセスしてみるとよいでしょう。また、リダイレクトチェックツールを用いる方法もあります。
少なくとも、旧URLにユーザーからのアクセスがある限りは、リダイレクトを維持したほうがよいでしょう。また、リダイレクトには旧URLのSEO評価を引継ぐという意味合いもあるため、旧URLの評価を利用し続けたい場合はリダイレクトを維持したほうが無難です。
Google Search Console(サーチコンソール)を利用している場合は、「不正なリダイレクト」という警告メッセージが表示される場合があるでしょう。不正なリダイレクトとは、Googleのガイドラインに違反するリダイレクトのことです。たとえば、以下のようなケースが該当します。
しかし、違反行為の心当たりがまったくない場合でも、この警告が表示されることがあります。たとえば、リダイレクト元とリダイレクト先の関係性があまりに小さい場合、「まったく異なるコンテンツにリダイレクトされる」として警告が出る可能性があるでしょう。
また、心当たりのない不正なリダイレクトは、第三者が悪意を持って行ったものである可能性もゼロではありません。「不正なリダイレクト」の警告メッセージが表示された場合は、まずは状況を確認し、Googleからのメッセージに沿って速やかに対処しましょう。
リダイレクトとは、ユーザーがWebサイトやページを訪問した際、自動的に別のURLに転送させる仕組みのことです。主にサイトリニューアルなどでURLが変わった場合や、メンテナンス情報など一時的なお知らせを掲載した場合などに用いられます。
リダイレクトはユーザーの離脱を防ぐだけでなく、SEOの観点からも重要です。URLが変更となった場合は、欠かさず設定しましょう。しかし、Googleが推奨するサーバーサイドリダイレクトには、専門的な知識やスキルが求められるケースも少なくありません。社内リソースでの対応が難しい場合は、SEO施策の専門家に相談するのがおすすめです。
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